Argentina

国土

国土面積は、278万平方メートル(日本の7.5倍)、人口は、4,342万人。首都はブエノスアイレス(Buenos Aires)。

 

民族・宗教

欧州系(スペイン、イタリア)97%、先住民系3%。公用語はスペイン語である。主な宗教はカトリック62.9% (2019年推定)である。
2010年から、同性婚が認められるようになった。

 

政治・社会

南アメリカ南部に位置する連邦共和制国家である。名目GDPは5,832億ドルで、一人あたりGDPは13,432ドルである。

 

年表

生殖補助医療 関連年表

1983 初の体外受精児が生まれる
1987 代理出産で男児を産んだ28歳の女性へのインタビュー記事が雑誌に掲載される
2010 同性婚が認められる
法律Ley 14.208により初めてARTが規制され、ブレノスアイレスでのみ適用された
2012 代理出産による初めての子どもが誕生(Halitus Medical Center)
2013 裁判所が依頼夫婦の子どもとして認める判決
Ley 26.862/13 により、成人であれば誰でもARTへのアクセスが可能となり、全国的にARTへのアクセスが可能となった
不妊治療を健康保険でカバーすることを定めた規則が導入
2015 出自を知る権利が認められ、18歳以上の子供はドナーの氏名を請求することができる。
2020 中絶が合法化

 

 

法律

・民法264条 ドナーの詳細情報を得るためには裁判所の許可が必要になる。
・民法558条 生殖補助医療を用いて子供を作ることは認められる
・民法559条 生殖補助医療で生まれた事実は出生証明書に記載されない
・民法560条 生殖補助医療を受ける際には毎回、自由意思にもとづくインフォームド・コンセントが取得されなければならない
・民法562条 子供は、あらかじめ同意し、生殖補助医療を受けた男女の子供となる
・民法563条 生殖補助医療で生まれた子供はどのようにして生まれたかを知る権利があると考えられており、配偶子ドナーについての情報は出生が登録される際にファイルに含まれる (ただし、実際にはクリニックはドナーの健康情報を入れるがドナーの個人情報はそのファイルには入れない)
・民法566条 生殖補助医療で生まれた子供は夫婦の子供となる。離婚後300日規定や夫死亡後の子供の出生についても民法の規定に従う(ARTで同意のもと子供を得た場合、父親は認知を拒否できないと考えられる)
・民法570条 生殖補助医療の利用は自由意思とインフォームド・コンセントに基づいて行われるかもしくは裁判所の決定が必要である。
・民法2364 海外での代理出産も子供の最善の利益に基づいている限り認められる。

 

ART

2010年、アルゼンチンは初めてARTを規制し、生殖の権利を基本的権利として認め、不妊症を病気として分類した。法律「Ley 14.208/2011」は 2010 年に認可されたが、ブエノスアイレス州のみ適用された。
2013 年、Ley 26.862/13 により、年齢、婚姻状況、不妊症の状況に関係なく、成人であれば誰でも ART へのアクセスが拡大され、全国的に ART へのアクセスが可能になった。

 

体外受精

クリニック数は24施設、2014年に14,980件の施術が行われた。

 

 

代理出産

代理出産についての法律はない。これまでいくつかの法案が提出された。

2011年8月に提出された法案では、依頼者も代理母もアルゼンチンの住民でなければならないとされた。
2011年10月に提出された法案では、利他的でなければならないとされている。
2011年11月に提出された法案では、依頼者は男女カップルでなければならず、依頼者の精子と卵子を使用すること、また商業的代理出産が認められた。

サンタフェ州でも法案が出されたことがあり、商業的代理出産は合法、署名した契約書は国家機関に登録される。代理母も依頼者も18歳以上で、2年以上サンタフェに住んでいなければならない。
代理出産は行われており、2012年にHalitus Medical Centerで初めての代理出産による子どもが誕生した。提供卵子と依頼者の精子が使用され、友人が代理母となった。出生証明書には代理母の名前が記載された。2013年に裁判所が依頼夫婦の子どもとして認める判決を出した。また、それ以前、1987年に2,400ドルの報酬を受け取り、男児を産んだ28歳の女性へのインタビュー記事が地元誌に掲載された。
民法を改正して代理出産に関する規制を導入するという議論がなされていたが、2015年8月の民法には盛り込まれなかった。
現在、代理出産を実施するためには裁判所の許可が必要である。以下のような条件を満たしていことが求められる。

1.子供の最善の福祉に基づいていること
2.代理母は法的能力があり身体的精神的に良好な状態
3.依頼者のどちらかの配偶子を使うこと
4.依頼者は自分で妊娠出産できないこと
5.代理母の卵子を使用しないこと
6.代理母は金銭を受け取らないこと
7.代理母が代理出産をやるのは1回だけ、
8.代理母は自分の子供を持ってること
9.クリニックは事前に裁判所の許可を得ること

 

精子・卵子提供

 

裁判例

Supreme Court of Buenos Aires Case No.116.430:P.M.G.v.M.G.,J.M. Filiation,
March 15, 2015, SCBACivil National Civil Court No.86, June 19, 2013, Buenos Aires
Case B.M. v. F.C.C.R.s/ordinario, Family Court, Gualeguay, Entre Rios,
November 19 2013
Case M.R.E. v. G.L.M.s/ impugnacion de maternidad, Jujuy Family Court, May 16 2011
Case D., C. G. yG.,A.M.v. Gcba, Tribunal Contencioso administrativo y Tributario, No.5, Buenos Aires City, March 2, 2012
Inter-American Court of Human Rights, Case of Artavia Murillo et al. (“In Vitro Fertilization”) v. Costa Rica, November 28,2012

 

出自を知る権利

Law25.523には、民法464条の例外を除いてドナーは匿名性を保障されている。特別なケースでは裁判所の決定により、ドナーの個人を特定できる情報が公開される場合がある。それ以外は、子供から認知を求めるなどの可能性を排除するために匿名である。560、561には、配偶子提供で生まれた場合にも、その事実はOffice of Vital Records and Statistics において登録されることはないとされている

 

アクセス権

現在、LGBTが親になる権利を求めている。3人が親となる出生証明書が提出されるケースも生じている。レズビアンカップルと精子を提供し、親としてみなされることを希望するドナー男性の名前が記載された。

 

Link

Ley 26.862/13  Link

Ley 26.994  Link

Ley 14.208 Link

アルゼンチン生殖医学会(SAMER)Link

アルゼンチンの生殖補助医療(Dr. Vanesa Rawe)Link

 

 

文献

Elenora Lamm 2013 Argentina. Katarina Trimming and Paul Beaumont (ed). International Surrogacy Arrangements.Oxford and Portland, Oregon. Link

Smith R. et al.2010 Reproductive Tourism in Argentina; clinic accrediitation and its implications for consumers, health professionals and policy makers. Dev Word Bioeth 10(2):59-69. Link

Lamm E, Gestational Surrogacy – Reality and Law 2012 InDret, Vol. 3, 2012. Link