Brazil

国土

851.2万平方キロメートル。人口は約2億1,531万人(2022年、世銀)。首都はブラジリア。

 

民族・宗教

住民は欧州系(約48%)、アフリカ系(約8%)、東洋系(約1.1%)、混血(43%)、先住民(約0.4%)。公用語はポルトガル語である。宗教はカトリック約65%、プロテスタン約22%、無宗教8%。

 

政治・経済

連邦共和制(大統領制)。一人あたりのGNIは7,720ドル。世界第13位かつ南米最大の経済規模。2015-2016年のマイナス成長から2017年にはプラスへと成長した。

 

年表

生殖補助医療 関連年表

1990 Latin American Registry of Assisted Repruduction (RLA)が設立される
2007 51歳の母親が娘夫婦の子どもを代理出産
2012.10 61歳の女性が出産
2012 ゲイカップルが初めて体外受精を用いて子どもを得る
2013 同性婚が認められる
2014.08 サンパウロ州裁判所が生物学上の両親の名前で新生児の出生届を出すことを承認

 

体外受精

ブラジルは南米で体外受精が最もさかんである。2012年、ブラジルのクリニックは57施設であり、16,030サイクルが、2014年は54施設で27,269サイクルが行われたと報告されている。次いで、ラテンアメリカでは、メキシコ、アルゼンチンが多い。

 

法律

RESOLUÇÃO CFM Nº. 1.358/92 CFM には、次のように定められている。

・出産以外の目的で配偶子を受精させるのは禁止
・胚移植の数は1回につき4個まで
・多胎妊娠に対する減数手術は認められない
・胚と配偶子の凍結保存は認められる
・胚を体外で操作できるのは14日までに限られる
・クリニックで作成された胚の個数をカップルに知らせる必要がある
・凍結した胚について、カップルか離婚した場合や死亡した場合にどうするかを書面で決めておく etc.

 

代理出産

代理出産に関する法律はなく、2010年にFederal Medcal Councilにより規制されている。男女カップルに対してのみ認められ、2親等以内の親族(母親、姉妹、姪)による利他的代理出産が認められている。
The CFM Resolution no1957/2010によれば、代理出産の際には、依頼者の卵子を使用することが求められている。しかし、地域によってはこの規定は無視されており、匿名の卵子ドナーの使用が認められているケースもある。また、親族から代理母を見つけることが原則だが、見つからない場合には、親族以外の代理母でも認められる。このように、しばしば地域の委員会によって異なっている。
最新版ガイドラインRCFM No. 2.121/2015には、商業的代理出産を一般的に禁止する規制が含まれた。商業的な代理出産は認められていないが、必要額の補償は認められている。
依頼者の名前が出生証明書に記載される。
ブラジルでは身体の商品化は厳しく禁じられているので、商業的な代理出産に対して厳しい判断が下される可能性がある。

 

精子・卵子提供

利他的な配偶子提供が認められている。ドナーは匿名で、ドナーの記録はクリニックで保管される。ドナーとレシピエントの外見は近似させること、ドナーから生まれる子どもの数が制限されている。クリニックのスタッフがドナーになることは禁止されている。ラテンアメリカ全体で2013年に卵子提供8434サイクル実施されたと報告されている。

 

性別の選択

伴性遺伝病の診断以外に性別の選択などを目的に生殖補助医療を用いることは禁止されている。

 

アクセス権

ブラジルではシビル・ユニオンが認められており、いくつかの州では同性婚も法律化されている。 同性カップルが体外授精で子どもを作ることが保障されている。例えば、レズビアンカップルの一方の卵子を用いてドナー精子と受精卵を作り、パートナーに子宮に戻すことができ、ゲイカップルの場合、4親等以内の親族に産んでもらうことが推奨されている。

 

LGBT

2011年に連邦最高裁(Supremo Tribunal Federal)判決により同性婚が認められる。最終的に2013年から同性間の婚姻がブラジル全土で可能となった。2015年の同性間婚姻件数は5614組(男性カップル2628組、女性カップル2986組)である。ブラジルでは生殖補助医療を規制する法律はないが、1992年の連邦医師審議会(Canselho Federal de Medicina)によるガイドラインでは同性カップルによる生殖補助医療を認めている。
同性カップルが配偶子提供や代理出産を利用して子を得た場合、双方の親を出生証明書に記載することが認められている。同性カップルによる共同縁組、連れ子養子縁組、単独縁組も可能である。

 

Link

連邦医療協議会 (Federal Council of Medicine/CFM)

Latin American Network of Assisted Repoduction (REDLARA) Link

RESOLUÇÃO CFM Nº 2.013/13 Link

RESOLUÇÃO CFM Nº 2013/2013 Link

RESOLUÇÃO CFM Nº. 1.358/92 CFM  Link

RESOLUÇÃO CFM nº 1.957/2010  Link

Resolution CFM 1957/2010: significant changes in the practice of assisted human reproduction  Link

Conselho federal de Medicina RESOLUÇÃO CFM no 2.121/2015. Sep 24, 2015: pp. 1–8.  Link

 

文献

Aureliano Lopes da Silva Junior, Mônica Fortuna Pontes, Anna Paula Uziel 2023 Assisted reproduction technologies and reproductive justice in the production of parenthood and origin: Uses and meanings of the co-produced gestation and the surrogacy in Brazil. Dev World Bioeth 23(2):122-137. Link

Fermando ZH, Juan-Enrque S, Javier AC, Borges MCS 2011 Twenty years of assisted reproductive technology (ART) in Latin America, JBRA Assist Reprod.15(2):15-30. Link

Fernando Zegers-Hochschild. 2016 Access to Assisted Reproductive Technologies in Latin America. Virginie Rozée, Sayeed Unisa (ed). Assisted reproductive technologies in the global south and north : issues, challenges and the future. I(1) Link

Marilena C. D. V. Correa. 2016 Assisted reproductive technologies in Brazil: Public and private arrangements in the name of access and reproductive rights. Virginie Rozée, Sayeed Unisa (ed). Assisted reproductive technologies in the global south and north : issues, challenges and the future. I(2) Link

Marianna Chaves 2011 Homoaffective parentage–specifically, a matter of medically assisted reproduction: a parallel between Brazil and Portugal. Med Law 30(3):417-39. Link

Nadia de Araujo. Daniela Vargas and Leticia de Campos Velho Martel 2013 Brazil.Katarina Trimmings and Paul Beaumont (ed). International surrogacy arrangements. Oxford and Portland, Oregon.   Link

Torres G. st al. 2019 A review of surrogate motherhood regulation in south American countries: pointing to a need for an international legal framework. BMC Pregnancy Childbirth. 19(1). Link