Nepal

国土

東、西、南はインドに接し、北方を中国チベット自治区に接する。14.7万平方メートル(北海道の約1.8倍)、人口は2649万人、首都はカトマンズ。ネパールのGDPは193億ドル、一人あたりのGDPは693ドルである。1日2ドル未満で暮らす貧困層は2200万人と推定され、国民の70%を超えている。2008年に王政を廃止し、共和制国家に移行。

 

宗教・民族

インド・アーリア系の民族と、チベット・ビルマ系の民族から成る多民族・多言語国家である。
宗教はヒンドゥー教(81.3%)、仏教(9.0%)、イスラム(4.4%)、その他。

 

年表

※ネパールの生殖補助医療 関連年表

2005.03 ネパール初の体外受精児の誕生が報告される。(出産したのは44歳の女性であった Om Hospital)
2015.03 代理母用の宿泊施設として使用されていたカトマンドゥにあるホテルが公安の手入れを受ける。逮捕者は出なかった。
2015.04 震災の中に取り残されていたイスラエル人依頼者の代理出産子が救出され、イスラエルに無事入国したことが報じられる。
2015.09 外国人による代理出産の依頼が禁止される
2016.07 高裁の命令により政府は商業的代理出産を禁止すべきだとの命令、同時に利他的代理出産を母国人に認める新な法をつくることを命令
2023 同性婚が認められる

 

 

法律

 

代理出産

インドで医療ビザ規制が導入されたことにより、インドで依頼できなくなったゲイカップルらはネパールで代理出産を依頼するようになった。ネパール女性ではなく、インドから連れてこられた女性が代理母としてネパールのクリニックで移植を受けていた。インド人はビザ不要でネパールに入国できるためである。
2015年4月、カトマンズでの震災被害により、カトマンズに滞在していた代理母たちにも被害が及んだ。依頼者と連絡が取れず不安な思いをした代理母たちの中には、インドに帰国したいと考える女性もいたが、女性がインドで出産すれば、ゲイカップルの依頼者の親権取得手続きに支障が生ずる恐れがあることが懸念された。
多数のゲイカップルが代理出産を依頼していたイスラエルでは、震災で壊滅した町に取り残された代理出産子らをチャーター便に乗せて運びイスラエルに入国させるという特別措置が取られた。妊娠中の代理母についても、イスラエルで出産させるという計画が立てられた。一方、出産を終えた女性たちは破壊された町に取り残された。震災後、経済的に困窮した女性たちが代理母を志願してクリニックに集まっているとの報告もなされた(Howars 2015)。
こうしたことが引き金の一つとなり、代理出産の依頼者に対する政府や国民の反感が高まり、2015年9月、外国人による代理出産の依頼は禁止されることになった。
禁止直後は、子ども帰国手続きに関して混乱が見られたものの、2014年1月から2016年5月までの間に247人の代理出産子が出国手続きを行ったとされる。 ネパールの代理出産は依頼者が支払う金額は22,000ポンドから41,000ポンド、代理母3,000- 4,000ポンドを受け取る、これは週あたりの賃金の1000倍に相当する。

 

精子・卵子提供

 

Link

 

文献

Atreya A. and Kanchan T. 2018 The ethically challenging trade of forced surrogacy in Nepal. Int J Gynaecol Obstet.140(2):254-255. Link

Howard S. 2015 Earthquakes lead to boom in Nepal’s unregulated surrogacy industry. BMJ. 17:350. Link

Subedi, M. 2015 Contractual Transaction: How Renting a Uterus Makes the Human Body a Commodity in Nepal. Dhaulagiri Journal of Sociology and Anthropology 9:1-25. Link