Netherlands

国土

西ヨーロッパに位置する立憲君主制国家。東はドイツ、南はベルギーおよびルクセンブルクと国境を接し、北と西は北海に面する。ベルギー、ルクセンブルクと合わせてベネルクスと呼ばれる。
41,864平方キロメートル(九州とほぼ同じ)、人口は1,718.4万人。首都はアムステルダム。
住民はゲルマン系のオランダ人が83%で、それ以外が17%である。オランダ人以外としては、トルコ人、モロッコ人、あるいは旧植民地からの移民などがいる。

 

政治・経済

政治体制は立憲君主制である。
2014年のオランダのGDPは約8807億ドルである[2]。世界17位の経済規模であり、EU加盟国では6位である。また、同年の一人当たりのGDPは52,225ドルであり、世界的にも上位に位置する。

 

宗教

言語は公用語としてオランダ語が使われている。フリースラント州ではフリジア語(実際には一方言の西フリジア語)も公用語として認められている。バイリンガル、マルチリンガルも多い。
キリスト教(カトリック24.4%,プロテスタント15.8%),イスラム教(4.9%),ヒンズー教(0.6%),仏教(0.5%),無宗教・その他(53.8%)

 

年表

※生殖補助医療 関連年表

2001 同性婚が認められる。
2002 Embryowet (胚法)
2004 Wet doborgegevens kunstmatige bevruchting (人工授精ドナーデータ法)2004
2011 Utrecht University から家族法の見地から代理出産についての調査結果を公表
2014 親子法に関する国家委員会が立ち上がり、2016年に報告書が提出され、代理出産の親子関係について言及された(Parents and Children in the 21st centry)。
2017 ヤン・カールバート医師事件。不妊治療クリニックの男性医師が、患者に無断で自分の精子を使って体外受精をし、49人の子どもと親子関係にあることが判明した。裁判所は医師と体外受精によって生まれた子供のDNA鑑定の実施を認め、2019年、49人の子供と親子関係にあることが判明した。

 

体外受精

 

精子・卵子提供

精子ドナーには1回の提供につき75-100ドルの補償が、卵子ドナーには1回の採卵につき、900ユーロの補償が認められている。
精子バンクと人工授精のためのオランダ協会(正式名称:オランダ・ベルギー人工授精協会 NBVKI(Ductch-Belgium Society for Artificial Insmination)はオランダの精子バンクを統合し、政府との協議における主要なパートナーになった。

 

Fiom(未婚の母親とその子供のための機関)によるKID-DNA Database

2010年にFiomが自分のドナーの情報を求めている子ども達のために、任意の登録システムを開始するものの身体的特徴と書類のみでは情報が不完全であるため、Canisius-Wilhelmia Hospital(CWZ)と共同でドナー提供によって生まれた子供とそのドナーのDNAを収集しマッチングすることとした。

■データ収集開始から10年の記録

【現在の登録者数】2021年4月15日現在
ドナー:846人
精子提供による子供:2289人

DNAマッチング件数
ドナーが一人以上の子供とマッチした数(%) 205(76)
子供がドナーとマッチした数(%) 514(63)
子供同士でマッチした数(%) 922(62)

 

法律

 

代理出産

商業的代理出産は禁止されている。代理出産に関して宣伝を行った場合、処罰される(Articles 151b and 151c of the criminal code)。
子を産んだ女性が母親だと定められている。もし代理出産が行われた場合、親権の移行は養子縁組により行われる。6ヶ月未満の乳児を依頼者の手元で養育する場合は、Child Protection Boardの許可が必要になる。これまでに国内で実施例がある。
ガイドラインがある。Hoogtechnologisch draagmoederschap, Richtlijn Nederlandse Vereniging voor Obstetrie en Gynaecologie, No.18 January 1999 (Guidelines on IVF-surrogacy by the Dutch Society of Obstetrics and Gyneacology)
ガイドラインでは、体外受精型の代理出産は、男女カップルの精子と卵子を用いた場合に限定されている。
そして、宣伝や仲介行為は禁止されており、処罰される。このため、依頼者が自分で代理母を探して連れてくることになるが、一般に友人や親戚が想定される。
また代理母の年齢は44歳を超えていないこと、依頼女性は40歳未満、Dutch Child Care and Protection Boardが全てのブロセスに関与する。
90年代初頭、代理出産を認めるか否かについてtrialが開始された。受け入れを行った施設は、2004年2月までに閉鎖された。その後、代理出産の患者を受け入れる施設はなかったが、2006年4月に、代理出産の患者(結婚しているカップル)を受け入れると称する施設が出現した。現在、代理出産を実施しているのはAmsterdam VU medical centreのみである。

 

出自を知る権利

2002年に法律が議会で採択され、2004年から出自を知る権利が認められる。
宗教勢力の側からは、ドナーが非匿名化されれば、配偶子提供を利用する依頼者が減ると期待されたことも背景にある。
卵子/精子ドナー情報は人工生殖提供者情報財団(Stichting donorgegevens kunstmatige bevruchting)に80年間保管される。
12歳以上の子どもまたはその両親、主治医は、ドナーの医学的情報(身長、体重、肌の色、目と髪の色)や学歴、職業並びに社会的背景(婚姻の有無、子の数)及び性格に関するデータを財団に請求することができる。16歳以上になると、レジストリーに保管された情報(ドナーの指名、生年月日及び住所)についてドナーが文書で同意した場合に提供される。(提供型人工授精法(Wet donorgegevens kunstmatige bevruchting)2条1項,3条)
2004年までのドナーは、匿名の権利を有している。精子バンクに保管されている場合、2004年以降に使用された場合でも匿名である。

 

LGBT

1998年に異性・同性かっぷるを対象とする登録バートナーシップを導入、2001年に世界で初めて同性婚を導入した。
同性カップルによる親子関係についても、1998年に共同親権を、2001年に共同縁組を認めた。
2014年4月1日から女性カップルの一方が生殖補助医療によって得た子供について他方が縁組を必要とせず、推定により母となることができるようになった。

 

Link

Planningsbesluit in-vitrofertilisatie, Staatscourant 1998/95. 14-18   Link

Wet doborgegevens kunstmatige bevruchting 2004  Link

Foundation fir donor, date, FDD

Dutch Society of Semen Banks

Fair trade model による代理出産の実施は容認される(Prof. Rien Janssens)  Link

 

文献

Ian Curry-Sumner and Machteld Vonk 2013 The Netherlands. Katarina Trimmings and Paul Beaumont(ed).International Surrogacy Arrangements. Oxford and Portland, Oregon. Link

M. Vonk 2010 Maternity for another: a double Dutch approach.  Link

P.M.W.Janssens, et al.2006 A new Dutch law regulating provision of idetifying information of donors to offsprings: background, content and impact. Human Reproduction 21(4):852-856. Link