Spain

国土

50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍、人口は約4,600万人、首都はマドリード。2013年のGDPは1兆3,586億ドルであり、世界第13位である。2008年以降、景気低迷が続いており、失業率も20%以上と高い水準にある。特に若年層(16〜24歳)の失業率は46%に達しており深刻である。

 

民族・宗教

スペイン語が公用語。その他、カタルーニャ語、バレンシア語、バスク語、ガリシア語、アラン語が地方公用語になっている。中世末期のレコンキスタ完了以前はイスラム教が多数派を占める地域もあったが、現在ではカトリックが94%である。

 

年表

※スペインの生殖補助医療 関連年表

1984 初めての体外受精児が誕生
1985 卵子提供による初めての双子が誕生
1988.11 生殖補助医療に特化した世界で初めての法が成立 (Law35/1988)
2005 同性婚が認められる
2017.06 利他的代理出産を合法化する法案が議会に提出される

 

体外受精

National Committe of Human Assisted Reproduction(CNRHA)は、関連の専門家から構成され、生殖補助医療について政策決定に関わっている。1998年10月、2001年11月に政府にレポートを提出した。

・生殖以外の目的で受精卵を作製することは禁止
・生殖補助医療を受けられるのは18歳以上の女性
・精子・受精卵の凍結保存期間は5年
・卵子・胚の提供は匿名、商業的な運用は禁止
・ドナーの情報はそれぞれのバンク及びNational Registerで保管
・配偶子を研究目的で使用することはできるが、得られた受精卵を生殖目的に使用してはならない。
・夫の同意があれば死後6ヶ月間、凍結精子を用いることができる。

・Law 35/1988
・Royal Decree 413/1996
・Royal Drcree 412/1996
・Ministrial Order of 25/03 1996(4)
・Royal Decree 415/1997
・Royal Decree 1720/2004

 

代理出産

代理出産は禁止されている。このため、海外で代理出産が利用されている。一時は、メキシコなどで代理出産を依頼するスペイン人(ゲイカップルなど)も増えてきていた。
利他的な出産に限定して容認する法案の審議がなされている。代理母は25-45歳の市民権または永住権を持つ女性で安定した地位と自分の子どもを持つことなどが条件になっている。

 

精子・卵子・受精卵提供

精子提供・卵子・受精卵提供が可能である。利他的なものとされているが、ドナーへの補償の支払いも可能であり、900ユーロと定められている。この額は、National Committe of Human Assisted Reproductionにより、経済的な誘因にならないと記される金額に基づいている。卵子ドナーは匿名である。子どもは、ドナーの年齢や身長、血液型など個人を特定しない情報のみを得ることができる。卵子ドナーは18歳から35歳まで、卵巣刺激の回数は6回まで、一人のドナーからの子どもの数は6人までと定められている。精子ドナーは50歳まで。
法律によれば、ドナー情報を管理するNational Registry of Donorsが設立されることになっているが、まだ設立されておらず、個々のクリニックで管理されている。
大学の掲示板、新聞やラジオでドナー募集の広告も行われている。ヨーロッパの国々からスペインへ卵子提供を求めて多くの患者が渡航している。

 

出自を知る権利

子どもは、個人を特定しない範囲で情報を得ることができる。例外として、子どもの生命健康に重大な問題が出た場合は、全ての情報が開示可能となる。

 

生殖補助医療へのアクセス

2005年6月、同性婚が認められる。 2007年より同性親が認められている。レズビアンカップルにおいて、一人の卵子を受精させてもう一人のパートナーが産むことが容認されている。

 

Link

Law 14/2006  Link

The Real Decreto 412/2006

The Real Decreto 1301/2006  Link

Spanish National Commission for Assisted Reproduction (CNRHA)  Link

Son Nuestros Hijos (They Are Our Sons/Daughters)  Link

スペインとメキシコの卵子提供 (Dr. Laura Perler)  Link

代理出産に関するフェミニズムの言説〜保守勢力との結託〜 (Dr. Pablo Pérez Navarro)  Link

 

文献

Bellver Capella V. 2017 Taking altruistic surrogacy seriously. Cuad Bioet 28(93): 229-243. Link

Bergmann S.2011 Reproductive agency and projects:Germans serching for egg donation in Spain and the Czech Republic.Reprod Biomed Online 23(5):600-8. Link

Charlotte Kroløkke 2017 Destination Spain: Negotiating Nationality and Fertility when Traveling for Eggs. Merete Lie, Nina Lykke. Assisted Reproduction Across Borders. Link

M. Boadam A, Veiga, and P.N. Barri. 2003 Spanish regulations on assisted reproduction techniques. Journal of Assisted Reproduction and Genetics 20(7):271-275. Link

Patricia Orejudo Prieto de Los Mozos 2013 Spain. Katarina Trimmings and Paul Beaumont(ed).International Surrogacy Arrangements. Oxford and Portland, Oregon. Link

Romeo Casabona CM.Paslack R.Simon JW 2013 Reproductive medicine and the law:egg donation in Germany.Spain and other European countries.Rev Derecho Genoma Hum 38:15-42. Link

青砥清一 2015「代理母出産のグローバル化と親子関係の確定に関する国際私法問題:スペイン最高裁2014年2月6日判決を巡って」『Global communication studies = グローバル・コミュニケーション研究』(2)、183-204頁。Link