国土
連邦共和制国家で、永世中立国。スイス連邦には26のカントン(canton)と呼ばれる州が存在する。そのうち6は準州と呼ばれ、全州議会の議員定数配分が、通常の州の2名に対し1名だけとなっている。ドイツ語圏は神聖ローマ帝国の流れをくみ、南ドイツやオーストリアと共通のゲルマン系アレマン族(土着ケルト人と混血)が多くを占める。ドイツ語、フランス語、ロマンシュ語など四つの言語圏から構成される。
宗教
キリスト教カトリックとプロテスタントが70%以上を占める。
年表
生殖補助医療に関し、ドイツ、オーストラリアと類似の傾向を有するとされ、配偶子や胚の取り扱いに対し慎重な態度を示してきた。スイスでは、憲法の中に生命倫理に関わる諸原則を組み込んでいることが特徴的である。
※スイスの生殖補助医療 関連年表
1985.04 | 体外受精による初めての出産 |
1992 | 顕微授精(ICSI)による初めての出産 |
1994 | For the Protection of Human Dignity |
1998 | 生殖医療に関する連邦法 B.G Betr. dis medizinisch unterstutzte Fortpflanzung 1998年制定2001年施行 |
2001 | 生殖補助医療令 Fortpflanzungsmedizinverordnung 施行 |
2001 | 人医療の領域での連邦倫理委員会令 Verordnung betr, dis nationale Ethikkomission im bereoch der Humamnedizin |
2022 | 同性婚が認められる |
代理出産・卵子提供・胚提供
子どもを産んだ女性が母親であり、代理出産は禁止されている。卵子提供・胚提供はともに禁止されている。
精子提供
精子提供は認められている。カップルの文書による同意が必要である。精子提供者の氏名、出生地、住所、本籍地などの情報が登録・保管される。一人の精子ドナーからの子どもは8人までと制限されている。
生殖補助医療法
・卵子と胚の提供、及び代理出産は不可
・精子提供は婚姻夫婦に限定
・死後生殖は禁止
・精子ドナーの血液型と外貌のマッチングが考慮される
・精子トナーは提供を受ける女性との間に民法95条に定める婚姻障害がない者に限る (近親婚の排除)
・精子をまぜて使用することは不可
・一人の精子ドナーからの子の出生は8人まで
・ドナーが提供する施設は1箇所に限定すること
・金銭的対価は禁止
・子どもはドナーの情報にアクセスできる
・受精卵の保存は原則として5年以内
・精子ドナーの個人情報、提供を受けたカップルの記録は80年間保存される
・18歳に達した子どもは、精子ドナーの情報を得ることができる
出自を知る権利
憲法の中に「何人も自己の血統に関する記録を入手することが保証されなければならない」(119条2項g号)と書かれており、出自を知る権利が認められている。18歳以上の子どもは、ドナーの外貌やパーソナリティについての情報の提供を受けることができる。18歳未満でも、保護法益があれば情報請求ができる。
ガイドライン
スイス医学アカデミー(SAMW)が1981年に人工授精、85年に体外受精に関するガイドライン、90年に「医師の助力を受けた生殖に関する医学的・倫理的ガイドライン」をまとめた。
同性愛者のアクセス権
生殖補助医療を受けられるのは婚姻夫婦に限定されている。事実婚夫婦は人工授精などを受けることができない。
Link
Swiss Acedemy of Medical Science Link
文献
Christian De Geyter 2012 Assisted Reoriductive Medicine in Switzerland.Swiss Medical Weekly 142:w13569. Link
M. Germond and A. Senn 1999 News and views Reproductive Health Care Politics Around The World. A Law Affecting Medically Assisted Reproduction Is on the Way in Switzerland. Journal of Assisted Reprocuction and Genectics 16(7):341-343. Link
松倉耕作 2004 「概説スイス生殖補助医療法」『アカデミア 人文・社会科学編』78、543-596頁。Link
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