Commercialization of Assisted Reproduction and Reproductive Tourism in the Globalized World: Ethical, Legal and Social Issues.

Commonwealth of Independent States

CIS諸国の法的状況

CIS諸国のART法は国によって異なる。胚の法的地位、性選択、配偶子の所有権の問題、独身者による代理出産、死後生殖医療などについて、空白領域を残した法律も多い。曖昧な法的状況や国による規制の違いが、CIS諸国内の渡航治療を生み出している。患者は自分の性別、婚姻区分、年齢などの理由によって、母国での利用が困難な技術を求めて渡航する。

【ロシア】

シングルの患者に対するART提供を成功裏に実現した国である。ARTや代理出産を直接規制する法律がないため、非婚姻カップルやシングルの代理出産児は関連法に従って出生登録される。代理母の名前は出生証明書に記載されない。2009年8月にはシングルの女性が、2010年8月にはシングルの男性が代理出産児の「親」として裁判所に認められた。その後も、シングルの男性を代理出産児の唯一の「親」とする判決がいくつか出されたことで、ロシアは性別に関係なく独身者が代理出産にアクセスする権利を認める国となった。「禁止されていなければOK」という原則の下でかなり自由に第三者の関わるARTが実施されている。現在ART法案が作成中であるが、かなりリベラルなものになると予測される。

【ウクライナ】

ARTに関することがらは、厚生省令などによって規制がかけられている。包括的なART法は存在しない。代理出産は認められている。代理母が子供を引き取ることが法律で認められていない。代理出産ツーリズムの渡航先として人気が高まったが、外国人が代理出産で子供を得た後の相次ぐ出国トラブルを防ぐ目的で、2011年、外国人に対するART提供を完全に禁止する法案が議会に提出された。不妊であることを証明された21歳以上のウクライナ国民しか国内のIVFを利用できないという内容であったため、法案が通過していれば、不妊ではないがARTの利用を望む人々(同性愛カップルなど)のアクセスは拒否されていた。結局この法案は、国内法に矛盾すると言う理由で検討委員会によって却下された。

【アゼルバイジャン】

包括的なART法は存在しない。代理出産が国内法の論争に発展。Family Codeに従えば代理出産は完全に合法だが、人身売買規制法に従うと同じ代理出産が搾取とみなされ、違法となる。

【アルメニア】

ART法が存在する。代理母の卵子を使用する人工授精型代理出産をはっきりと認めているCIS諸国で唯一の国である。代理母の卵子を使用した場合には、代理母は子どもの引渡しに応じなくてもよいことになっている(2002年法)。また、代理出産を含むARTへのアクセスは、正式な婚姻関係にないカップルでも、シングルの男女でも認められている。シングルの男女に代理出産を認めることを法律で明記した国はCIS諸国でアルメニアのみである。それでも、クリニックによってはシングルの患者に代理出産サービスを提供しない施設もあるので、すべては現行慣例次第といえる。
・「Law on Reproductive Health and Rights (ՀՀ օրենքը մարդու վերարտադրողական առողջության եվ վերարտադրողական իրավունքների մասին)」 Link blank  

【トルクメニスタン】

包括的なART法は存在しない。遺伝物質の保管、配偶子や胚の提供もグレーゾーンにある。代理出産は人身売買と見なされ実施は認められていない。

【モルドバ】

ART法が存在するが、代理出産に関する法律はなく、実施は認められていない。
・「Law on the protection of reproductive health and family planning (cu privire la ocrotirea sănătăţii reproductive şi planificarea familială)」 Link blank 

【タジキスタン】

ART法が存在するが、代理出産に関する法律はない。
・「Law on Reproductive Health and Reproductive Rights (Закон Республики Таджикистан "О репродуктивном здоровье и репродуктивных правах") Link blank

【ウズベキスタン】

ARTに関する規制が一切存在しない。代理出産は実施されている。

【ベラルーシ】

包括的なART法は存在しないが、代理出産は実施されている。

【カザフスタン】

ART法が存在する。代理出産の実施は認められている。
・「Reproductive Rights and Guarantees for their Implementation (О репродуктивных правах граждан и гарантиях их осуществления)」 Link blank

【キルギス】

ART法が存在する。代理出産の実施は、商業的なものも含めて認められている。
・「About the reproductive rights of citizens and guarantees of their sale (О репродуктивных правах граждан и гарантиях их реализации)」 Link blank
・記事「Kyrgyzstan to legalize commercial surrogate maternity」(07/04-2011, 24.kg news agency , by Julia MAZYKINA) Link blank

参考文献

K. Svitnev Legal regulation of medically assisted reproduction treatment in the c.i.s. (former ussr) countries and cross-border reproductive care



(2013/08/29 last updated)
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